【事例多数】ブロック塀は危険?自分で出来る安全点検チェックリスト!


震度6弱を記録した今回の大阪の地震では、ブロック塀の倒壊による大きな被害もありました。塀の倒壊により、通学途中の女の子が亡くなった事故のニュースを見た方も多いのではないでしょうか。

 

今回の被害を受けて、わたしの所属する建築士会でも国土交通省から既存ブロック塀の安全点検について通達がありました。

ブロック塀の所有者に安全点検を促すという内容です。

 

まず知っておいていただきたいことは、ブロック塀は決して強度が高くないということ!

例えばこちらのブロック塀ですが、庭の土の圧力に負けてヒビが入り、外側に傾いています。

 

2段程度なら危険は少ないのですが、これが高くなってくると地震で倒壊する危険が高くなってきます。

地震でブロック塀が倒れるのは特殊なことではなく、実際に熊本地震でも死者やけが人が出ています。

古いブロック塀や高いブロック塀は特に危険性が高いので安全かどうかをきちんとチェックしておく必要があります。

 

でも、安全性をチェックするためにはどこを見れば良いの?

専門家でないと難しいのでは?

 

そんな疑問を持つブロック塀のオーナーさんも多いのではないでしょうか。

 

今回はそんなブロック塀オーナーや通り道にある塀の安全性が気になっている人に向けて、ブロック塀の危険度判定について詳しく解説したいと思います。

危険なブロック塀の写真も掲載しました。お子さんの通学路やご自分の通勤路も点検してみてください!

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ブロック塀のキホン!【ブロック塀の点検のチェックポイント】

国土交通省から出ている資料ではブロック塀のオーナーさん向けにチェックポイントがまとめてあります。

調査項目は6つです。

  1. 塀は高すぎないか
  2. 塀の厚さは充分か
  3. 控え壁はあるか(壁の高さ1.2m以上の場合)
  4. 基礎はあるか
  5. 塀は健全か
  6. 壁に鉄筋は入っているか

 

それぞれについて詳しく内容を見ていきたいと思います。

1、塀は高すぎないか

ブロック塀は基本的にあまり強度のない塀なので、作れる高さが法律で決まっています。

ブロック塀の高さ 最高でも2.2mまで

 

気を付けたいのは擁壁の上にブロック塀が載っている場合。

土地に高低差がある場合には一般的な建て方ですが、強度があるかどうかはぱっと見では判断できません。

こういうケースです。

 

実際に熊本地震でも擁壁にのっているブロック塀が倒壊しました。

被害者は亡くなっており、遺族から塀の持ち主へ損害賠償が請求されています。

出典:日経ホームビルダー

ブロック塀だけの高さを見ると2.15mと、基準の2.2mを下回っています。

ですが、足元の基礎部分の強度が基準に満たない、途中に控え壁(後述)が無いなど完全に強度不足でした。

 

必ず高さだけでなく周りの状態もチェックして、総合的に判断するようにしてください。

 

参考 コンクリートブロックの寸法

ブロックによっても多少誤差はありますが大体は同じです。

コンクリートブロックの一般的なサイズ 縦20cm×横40cm 

 

出典:広島第一ブロック協同組合テクニカルデータ

 

ブロック部分の高さを知りたい場合は ブロックの段数×20cm と覚えておいてください。

例えばこの塀はブロックが9段見えます。高さは 9×20cm=180cm で1.8m以上あることがわかります。

 

2、塀の厚さは充分か

建築基準法では次のように厚さの基準が決まっています。

高さ2.0m以下の場合:10cm以上

高さ2.0mを超える場合:15cm以上

 

新しいブロック塀だと大抵は厚さ15㎝以上のブロックを使っています。

古いブロック塀の場合は足りているかどうか寸法を測ってみてください。

 

3、控え壁はあるか(壁の高さ1.2m以上の場合)

今回の大阪地震の事故でも問題になった控え壁。

法律で付ける位置や幅が規定されています。

 

出典:広島第一ブロック協同組合テクニカルデータ

塀の幅3.4m以下ごとに、塀の高さの1/5以上突出した控え壁が必要です。

 

例えば高さ2.0mの塀の場合、

2.0 × 1/5 = 0.4

 

1個のコンクリートブロックの幅は一般的には40cmです。

ですから、高さ2.0mの塀にはブロック1個分が控え壁が付いていなければなりません。

 

市街地で敷地が狭く建物ぎりぎりにブロック塀が建てられている場合、控え壁がない事例も見受けられます。

 

4、基礎はあるか

ブロック塀にも基礎が必要です。

基礎のない塀は強度が低く危険です。

 

基礎の高さは35cm以上(できれば40cm)、地面に埋まっている部分が30cm以上と必要です。

塀の高さが1.2m以上になるときは高さに応じて深くします。基礎は、地表面より必ず5cm以上立ち上げてください。

 

 

基礎がない塀 一番下からブロックで立ち上がっています。

 

完成してしまうと基礎の形状はわからなくなってしまうのですが、

少なくとも塀の一番下にコンクリートが見えているかチェックしてみてください。

基礎がある塀 一番下はコンクリートなので目地がありません。

 

基礎の形状の一例です。

 

5、塀は健全か

傾き、ひび割れ等ないかチェックします。

ひび割れや欠損。

ここまでくると・・撤去しないと本当に危険です。

 

古い塀の場合は老朽化による強度が低下しています。

塀の状態については後述の古いブロック塀の危険度判定をご確認ください。

 

6、壁に鉄筋は入っているか

壁の中に9㎜以上の鉄筋が縦横入っていることが条件です。

鉄筋の種類や末端の形状も細かく決まっているのですが、外からは見ることができません。

ただし、図面があれば調べることができます。

 

こちらも新しい塀だと必ず入っているのですが古い塀だと怪しい場合があります。

 

以上が国土交通省のまとめたチェックリストの解説になります。

ブロック塀も築20年以上は危ない!

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国土交通省のチェックリストには【壁は健全か】という項目がありました。

 

日本エクステリア建設業協会によると、設置から20年が経過したブロック塀は危険性が高いとされています。

 

同協会ではブロック塀の安全点検項目を定めていて、外観から壁は健全かどうかを判断することができます。

 

危険度判定のできるチェックリストはこちら↓↓

古いブロック塀の危険度判定

出典:日本エクステリア建設業協会
5 透かしブロック

透かしブロックとはこのような風抜き穴の付いたものです。

よく目にする部品ですね。

透かしブロック部分には強度がありません。2個連続で使っている塀は危険です。

 

7 笠木

笠木も大事な部品です。

上の写真の塀では笠木がとれています。

 

ブロック内部に雨が入り鉄筋が錆びる恐れもあります。そうなると強度が期待できませんので、やはり倒壊の危険性が高まります。

 

外観でわかる!こんなブロック塀はとっても危険!

上のリストはどの項目も大事ですが、1個でもあると危険と判定される11~15番は特に厳しくチェックしてください。

 

石垣や大谷石の上のブロック塀

たとえブロック塀が規定どおりに作ってあっても、下にある石垣や大谷石の強度が不足している場合も。

 

そのような場合は高いところからブロックが落ちてくるので、特に危険です。

大谷石は水を吸いやすく、強度は高くありません。

ひび割れ・亀裂・破損

強度が著しく下がります。

ひび割れや欠損、コケの付着、笠木が壊れているケース

 

塗装してある塀でもひび割れがあれば亀裂が出ます。

 

土や樹木の圧力を受けているか

こちらも重要なポイント。

土圧をうけて膨らんでいるようなブロック塀は強度不足です。

 

塀が傾いている、押すとぐらつく

強度が怪しい塀の場合は押してみるのも良い方法です。

 

しっかりしている塀ならば手で押したぐらいでぐらつくことはありません!

 

ブロック塀が安全でなかったら?

塀が老朽化していたり、新しくても強度不足が心配な場合はどうしたらよいでしょう?

 

具体的な対応策を書いておきます。

  • 専門家(建築士)に点検を依頼する
  • 施工会社に連絡を取り適切な補強してもらう

 

決してご自分でDIYで補強したりしないようにしてください。

強い地震に耐えるような充分な強度が出せません。

 

専門家に知り合いがいない場合は、お住まいの地域の役所に相談することができます。

 

明らかに危険な場合は取り壊しもありますが、まずは詳しい人に相談をしてみてくださいね。

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